利用者の声から作った機能を、もう一度利用者の声で改善した話

今回の調査では、写真や動画の保存、一括ダウンロード処理にシステム上の不具合はありませんでした。 ホスト本人がゲスト向け画面から購入したため、仕様どおり「みんなのアルバム」の公開写真のみが対象となっていました。
一方で、操作の間違いだけで終わらせるのではなく、ホスト画面とゲスト画面の違いが分かりにくかったことが根本的な原因だと考えました。必要なデータを追加料金なしで再送するとともに、現在の立場とダウンロード対象が伝わるよう画面を改善しています。
HAREShareには、アルバムに集まった写真や動画をまとめて保存する一括ダウンロード機能があります。
もともとはホストである新郎新婦のために用意した機能でした。その後、「新郎新婦に手間をかけず、ゲスト自身で写真をまとめて保存したい」という相談を受け、ゲスト向けにも提供するようになりました。
一件の問い合わせをきっかけに機能を作った経緯は、以前の記事「売って終わりではない。利用者の声からHAREShareを改善した記録」で紹介しています。
今回は、そのゲスト向け一括ダウンロードを実際に利用した方から、別の声が届きました。
作った機能が、また利用者の声によって改善されるまでの記録です。
「購入したのに動画が入っていない」という声が届いた
きっかけは、利用後のアンケートに寄せられた意見でした。
ゲストを招待しやすいこと、アルバムの準備が簡単なこと、写真や動画の画質が劣化しなかったことを評価していただいた一方、一括ダウンロードについて厳しい指摘がありました。
「動画がダウンロード対象になっておらず、ダウンロードできなかったことに関しては、550円ではありますが、有料でそのようなサービスを提供しているわけなので、今後一切起きないようにしていただきたい。」
HAREShareは、シンプルで本質的な機能を追求して作っているサービスです。機能を絞り、通常アルバムを550円で提供しているからこそ、その中心となる「大切な写真や動画を受け取れること」に不備があってはいけません。
安いから仕方がないと思われる、いわゆる「安かろう悪かろう」のサービスにはしたくありません。
まず何より、迅速に原因を特定し、必ず解決しなければならないと考えました。同時に、問題を具体的に知らせていただけたことをありがたく感じました。
保存、決済、ZIP生成を一つずつ確認した
お問い合わせには、対象のアルバムを確認できる情報が添えられていました。
そこで、次の順番で記録を調べました。
- 写真と動画が正常にアップロードされ、保存されているか
- どの一括ダウンロードを購入したのか
- 一括ダウンロードの処理が正常に完了したか
- 作成されたZIPに何が含まれていたか
調査の結果、アルバムには写真755枚と動画49本、合計804件が正常に保存されていました。 一括ダウンロード処理にも、通信やファイル生成のエラーはありませんでした。
一方で、購入されていたのはホスト向けではなく、ゲスト向けの一括ダウンロードでした。
HAREShareでは、ゲスト向け一括ダウンロードで受け取れるのは、参加者全体へ公開されている「みんなのアルバム」の写真です。動画はホストだけに公開されるため、ゲスト向けのデータには含まれません。公開範囲を分ける理由は、結婚式の写真を安心して共有するために。ハレシェアの安全性への考え方で詳しく紹介しています。
今回の利用者はアルバムのホストでしたが、友人へ共有したゲスト向けリンクからアルバムに入り、その画面で一括ダウンロードを購入していました。そのため、公開写真755枚はZIPに収録されましたが、ホストだけが受け取れる動画49本は対象外になっていました。
根本にあったのは、ホスト本人がゲスト向けリンクから利用する場面を、画面設計で十分に想定できていなかったことでした。
操作の間違いだけでは終わらせなかった
処理だけを見れば、システムは設定された公開範囲どおりに動いていました。
しかし、これを利用者の操作の間違いだけで終わらせるべきではないと考えました。
開発する側は、ホスト画面とゲスト画面にある機能の違いを知っています。ホストだけが使えるアルバムの切り替えが表示されていなければ、ゲスト画面だと判断できるだろうと考えていました。
それは、初めてHAREShareを使う方の目線ではありませんでした。
実際の利用場面を考えると、新郎新婦が毎回ブラウザの履歴やマイページからアルバムを開くとは限りません。友人へ送ったゲスト向けリンクを自分でも開き、そこから何度もアルバムを見ることは、ごく自然な行動です。
ホストが必ずホスト用の入口から入るという前提に、改善の余地がありました。
まず、求められていたデータを届ける
原因を説明するだけでは、利用者が求めていた動画を受け取ることはできません。
お問い合わせの内容からホスト本人であることを確認でき、すでに一括ダウンロードの料金もいただいていました。誰の操作に原因があったかよりも、まず相手のニーズを満たし、支払われた料金に対して誠実に対応することを優先しました。
そこで追加料金をいただかず、ホスト向けの一括ダウンロードをあらためて実行しました。
写真755枚と動画49本のデータを、通常の一括ダウンロードと同じ仕組みで再作成しました。受付からZIP生成、期限付きダウンロードURLの発行、メール送信までを確認し、利用者へお詫びと原因をお伝えしました。
その後、次の返信をいただきました。
「動画込みのURLにつきまして確認できました。本当にありがとうございます。」
「また、利用できる機会がありましたら利用させていただきたいと思います。」
必要なデータが無事に届いたことに安心しました。そして何より、今回問い合わせていただいたことで、これから利用する方の体験を改善できることに感謝しました。
ホストとゲストの違いを、察してもらわない
同じことが起きないよう、画面の改善にも取り組みました。
画面上の問題は、利用者が現在見ているのがホスト画面なのか、ゲスト画面なのかを直感的に判断しにくかったことです。
そこで、現在の立場が分かるアイコンや表示を加えました。ゲスト画面のメニューでは「ゲスト向け一括ダウンロード」であることと、対象が「みんなのアルバム」であることを明記しました。ログイン済みのホストがゲスト画面を見ている場合には、マイページからホスト向け一括ダウンロードへ進めることも案内しています。
機能の違いから利用者に察してもらうのではなく、必要な情報をアイコンと言葉で伝えるための変更です。
自動でホスト画面へ移動させなかった理由
改善を考える中では、ホストがゲスト向けリンクを開いた時点で、自動的にホスト画面へ移動させる案もありました。
確かに、それなら今回と同じ購入は防ぎやすくなります。
一方で、ホストがゲストからどのように見えるかを確認したい場合もあります。自動的に移動させると、ゲストと同じ目線で招待リンクや画面を確認できなくなります。画面遷移や権限の仕組みを複雑にすることにもつながります。
問題の表面だけを見れば、「ホストをゲスト画面へ入れないこと」が解決策に見えます。しかし、本当に必要だったのは、ホストがゲスト画面を見る自由をなくすことではなく、今どちらの立場で見ているかを迷わず理解できることでした。
一つの問題に対して、考えられる解決策は複数あります。誤操作を防ぐこと、実際の利用用途を残すこと、サービスをシンプルに保つこと。そのすべてから問題とニーズの本質を考え、今回は自動遷移ではなく、表示を分かりやすくする方法を選びました。
作った機能も、完成ではない
前回は、一人のゲストから届いた声をきっかけに、ゲスト向け一括ダウンロードを作りました。
今回は、その機能を実際に利用した方の声から、ホストとゲストの違いを伝える画面を見直しました。
サービスに、完全な完成はないと考えています。 利用される場面や使い方を知り、その時々でより良い形へ変えていく必要があります。
ただし、意見をいただくたびに、機能を何でも足せばよいわけではありません。 何に困っているのか、必要とされていることは何か、別の使い方を損なわないか。複数の視点から考え、何を変え、何を変えないかを選ぶことも大切です。
今回の出来事を公開するのは、HAREShareに寄せられた意見が、きちんと運営と開発に届いていることを伝えたいからです。
良かったという声だけでなく、困ったことや厳しい意見にも誠実に向き合う。利用者の皆様と一緒にサービスを作っていく。その姿勢を、これからも大切にします。
HAREShareを利用して気づいたことがありましたら、利用後のアンケートやお問い合わせから、ぜひお聞かせください。
この記事について
- 実際に利用者から届いたアンケート、問い合わせと、その後の対応をもとにしています
- 氏名、メールアドレス、アルバム名など、個人を特定できる情報は掲載していません
- 件数と処理結果は、保存データ、決済記録、一括ダウンロードの実行記録と照合しています
- セキュリティや安定運用に関わる内部実装の詳細は公開していません
